───背景と、これから外国人が気をつけたいポイント───
ここ最近、「日本でビザを更新・変更するときの手数料が大幅に上がる」というニュースが相次いで報じられています。すでに令和7年(2025年)4月1日から第1弾の値上げが行われ、在留資格変更・在留期間更新の手数料は、従来の4,000円から窓口申請で6,000円、オンライン申請で5,500円に引き上げられました。永住許可も8,000円から10,000円へと上がっています。
さらに報道によれば、政府は今後、在留資格の変更・更新の手数料を現在の6,000円から一気に3万〜4万円程度へ、永住許可については10万円以上へと大幅に引き上げる方向で検討しているとされています。現在の入管法では、上限額が1万円と定められているため、これを超える値上げには法改正が必要であり、政府は2026年度中の改正・実施を目標にしていると報じられています。その狙いとしては、手数料を欧米並みの水準に近づけ、その増収分を外国人政策の財源に充てるという説明がなされています。
もし、こうした大幅な値上げが実現すると、数年ごとに更新が必要な在留資格では、10年単位で見たときのコスト負担が現在とは比較にならないほど高いレベルになります。企業が外国人社員のビザをまとめて更新するときの経済的負担も重くなり、個人にとっても「安易に1年更新を繰り返す」ことが現実的ではなくなっていくでしょう。
では、手数料が上がる時代に、在日外国人本人としては、どのようなことに気をつけていけば良いのでしょうか。キーワードは「できる限り長い在留期間を確保すること」と「更新・変更がスムーズに通る生活基盤を整えておくこと」です。
出入国在留管理庁が公表している「在留資格の変更、在留期間の更新許可のガイドライン」などによれば、更新や変更の審査では、在留資格に適合した活動を行っているか否か、素行に問題がないか(犯罪歴がないか)、安定した生計が成り立っているか、税金や社会保険料をきちんと納めているかといった点が総合的にチェックされます。また、近年は、国民健康保険料や医療費を滞納している外国人について、2027年度以降、在留資格の変更・更新を原則認めない方向性まで示されており、未納は更新の
不許可に直結する大きなリスクとなりつつあります。
長期の在留期間(3年や5年)をもらいやすくするためには、まず「活動の継続性」が重要です。担当官は、現在の在留資格に合った仕事や学業がきちんとなされているかどうかを見ています。頻繁な転職や、許可された仕事の範囲を超えた活動、長期間に渡る出国ばかりが目立つと、「将来も安定して日本で生活していけるか」という点でマイナス評価になりやすいと考えられます。
次に重視されるのが収入と生活の安定です。正社員として一定期間同じ会社で働いている、あるいは事業所得が継続して出ている、といった実績があれば、更新のときに3年や5年といった比較的長い在留期間を付与しやすいとされています。逆に、アルバイトの掛け持ちばかりで収入が不安定だったり、直近で無収入の期間が長かったりすると、短期(1年)の在留期間しか認められなかったり、場合によっては更新自体が難しくなったりするケースがあります。
そして、納税・社会保険の履行状況は、ガイドライン上も代表的な判断要素として明記されています。住民税や所得税の滞納はもちろん、国民健康保険や厚生年金などの未加入・未納も、今後ますます厳しく見られると考えるべきです(すでに永住審査においては重要な判断要素となっています)。毎年の源泉徴収票や課税・納税証明書を確認し、不明点があれば早めに市区町村や税務署で確認、未納を解消しておくことが、長期の在留を得るうえでの「最低限の準備」になってきます。
手数料負担を抑えるという観点からは、まず、オンライン申請が可能な場合には積極的に利用することも一つの手です。現行の改定後手数料では、窓口申請が6,000円に対しオンライン申請は5,500円と、わずかではありますが低く設定されています。今後もし金額が数万円単位に引き上げられた場合、オンラインとの差額も相応に大きくなる可能性があります。
もう一つの方向性としては、「更新の回数そのものを減らす」ことです。条件が整う人であれば、長期の在留期間を狙うだけでなく、永住許可の取得も選択肢となります。永住の手数料自体も将来的には10万円超に上がる案が報じられていますが、一度永住が認められれば、その後は在留期間更新の手続きと印紙代が不要になるため、中長期で見ればコストと手間の大きな削減につながります。
まとめると、在留資格の更新・変更手数料の値上げは、単に「印紙代が高くなる」という問題にとどまらず、日本で長く暮らしたい外国人に対して、「在留の審査基準をきちんと理解し、生活面を早めに整えておくこと」がこれまで以上に重要になることを意味しています。報道されている大幅値上げはまだ最終決定ではなく、具体的な金額や開始時期は今後の法改正と政令で決まっていきますが、いずれにしても、長期の在留期間を得られるような安定した在留実績をつくっておくことが、これからの時代の一番の「節約」であり、安全策と言えるでしょう。
